noto/安里博樹より
1974年に中山パイン園(旧名)として創業した沖縄フルーツランドは、観光土産品販売から始まり、お菓子工場やレストランやカフェやテーマパークなどを併設し成長していきました。
2018年10月、コンドミニアムホテル 名護リゾート「リエッタ中山」がオープンしました。
観光土産品店が、ホテル開業に至った理由は、一言で言うと観光業の変化です。
観光業の変化とホテル誕生までを数回にわたり記載していきます。
沖縄の観光業は、1974年に行われた沖縄国際海洋博覧会の開催決定で本格的に成長していきます。
当時の観光は、団体旅行が主体です。 旅行会社が観光客を募集し、大人数でバスに乗り観光地を回る周遊型の観光です。
※補足説明:沖縄を大きく分けると北部・中部・南部となります。北部は、名護市や美ら海水族館がある本部町など、北側の地域です。 中部は、読谷村や恩納村など。 南部は、那覇空港がある那覇市など、南側の地域。 南部の那覇市内から北部の名護市まで、県道58号線を使うと、 約2時間ほどかかります。 高速道路を使うと、約1時間ほどで到着です。
一般的な行程は、 那覇を中心とした宿泊地からバスに乗り、 中北部の観光地を回り、 那覇のホテルへ帰っていくコースが一般的でした。
大人数がバスで移動するので、 時間通りに行程が進み、とても効率的に沖縄の観光地を回ることができました。
しかし、それが徐々に変化していきます。
1990年代に入り、レンタカーを使用しての観光に徐々に変化してきました。
つまり、旅行形態が団体型から個人型へ変わっていったのです。
お客様の自由度は格段に上がりましたが、問題も発生しました。 その一つが、渋滞です。
これにより大きな時間のロスが発生しました。
※レンタカーを使った家族旅行の一例
那覇のホテルで朝食を食べた後、10頃チェックアウト、
その後レンターカーにて美ら海水族館に向かいます。
高速道路出口付近や水族館入口周辺では、渋滞が発生し、
到着は13時を超えてしまいます。
お昼を途中で食べると、14時になってしまいます。
その後、水族館やイルカ劇場などみると、16時を過ぎています。
帰る頃には、また那覇への渋滞が発生しております。
※ピーク時の渋滞状況は(15時頃)、許田インターからフルーツランドまで約13Kmに渡りつながっている事がありました。
渋滞などによる時間のロスで、 北部地域の滞在時間が大幅に減ってしまいました。
その影響で、北部地域に数多くある観光ポイントへ立ち寄れなくなったのです。
那覇へ帰るお客様に質問してみました。
「渋滞が落ち着くまで北部の観光施設で遊んで行かれてはどうですか?」
「那覇のホテルのチェックインや食事の予約をしているので、帰らなければいけません」
その他、このような声もいただきました。
「北部地域の観光は、時間に余裕がある人しかいけません。北部観光はぜいたくなんですよ!」
改めて、名護地区における「滞在時間」の調査してみました。
このまま何の対策もしなければ、30分以下になる恐れが出てきました。
このままでは、北部地域の観光関連施設は大きなダメージを受けてしまいます。
いかに、素晴らしい観光施設や観光ポイントがたくさんあっても、 少ない時間の中では、奪い合いにしかならない事が見えてきました。
多くの問題点を並べ、解決する方法を考えてみました。
いち観光施設だけでは解決できる規模感の問題ではありません。 地域をより広くより高度から見てみると、一つの結論に達しました。
解決する手段、それが「ホテル計画」です。
問題の根幹は、北部地域に宿泊施設が少ない事です。
団体旅行が主体の頃は、滞在のメイン先は中南部だった為、
北部地域における宿泊施設の数は、それでよかったのですが、 個人旅行に変化した後、大きな問題の根幹になっていたのです。
名護市に宿泊する事で、 滞在時間を30分から20時間まで一気に増やすことができれば、 まず、中南部からの渋滞が回避され、よりスムーズな観光が可能となります。
そして、美ら海水族館だけではなく、 他の観光施設や海山等の自然体験も十分回る事ができます。 名護市を含む本部半島から国頭村に至るまで北部地区の観光エリアが広がります。
観光するお客様・観光施設・地域にとっても全てウィンウィンになります。
早速、我々が目指すホテルの形は、何なのか検討が始まりました。
続く
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